2009年4月7日火曜日

感想? 『さよならバースディ』

4月4日にスタートしてからすでに3日経過している。
だがテスト投稿以外の記事がないだと?

はじめからコンテンツがないのはわかっていたが、これはひどい。
せっかくなのでさっき読み終えた本の感想を書きたいと思う。


『さよならバースディ』 荻原浩 集英社文庫

荻原浩との出会いは『コールドゲーム』という本だった。
ジャンルは…高校生、青春、いじめ、ミステリー、である。
当時読んだ時はなかなか衝撃的な内容だった。この人の名前は覚えておこうと思わせるほどだ。といっても他に読んだのは『神様からひと言』と『ハードボイルド・エッグ』ぐらいだが。

3作品しか読んでいないのに言うのもどうかと思うが、荻原浩の小説は世界観がおもしろい。視点が普通の位置から少しずれている感じがする。
コールドゲームはともかく、後の2つはコミカルというかブラックというか主人公その他が大変ユーモアだ。(悪く言えば下品かもしれない…)
特にハードボイルドの方はつぼにはまってしまった。
キャラクターの描き方が半端なさすぎる。よくもまあこう書けるものだと。
とにかく「荻原浩」=「独特な人」で認識していた。


さて、ここにきてようやく『さよならバースディ』の感想に入るわけだけれど…
この本は予想に反して最初から最後までとても真面目な内容だった。
もちろん、独特な雰囲気は所々で感じることができる。
ボノボという類人猿である「バースディ」の言語習得実験が大きな軸となっている。
(ミステリーってあまり中身が書けないなと今気づいた。
 個人的には本の裏のあらすじも見ない方がいいと思う。)
そう、ジャンルはミステリーと書かれている。
『コールドゲーム』のように緊迫感をもったものではなかった。
じわじわくる。ラスト30ページは圧巻だ。

しかしこの作品はミステリーと銘打たない方がいいかもしれない。
ミステリというのは読者への挑戦のようなものだと考えている。
作者はミスディレクションを用意したり、どんでん返しを用意したり、しばしば読者を翻弄させるものだ。
それに惑わされることがおもしろいし、そういうのがミステリーだ。

その点、この本で用意された「謎」は小説の中の主人公でなければ解いてはいけないと思う。読者のミステリ的な反応はかえってこの作品の邪魔になる。主人公を読むことが一番この本を満足できる方法だろう。

こういったギミックでこういった料理ができるのはこの作者だけではないだろうか。
あまり本を読まないやつが言うのもなんだけれど…。


中身を書かなかったら抽象的な話になってしまったけれど、こんな感じ。
特におすすめってわけでもないが、アイデアがすごかった。
…大学の教授たちの実態ってどうなんだろう……


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